[Title08:色気より食い気]
ひらひらっとちょうちょさんがとんでいたんだお。
ちょうちょさんはおはなにとまったんだお。
きょうはクエスト、おでかけなんら。
てんきもいいし、クエストびよりねってぱぁーるが言ってた。
クエストはこわいどきどきもあるけど、たのしいどきどきもあるからすき。
いつ、どんなどきどきが出てくるかわからないんら。
いまみたいにひと休みしてるときだって気はぬけないお!
「ぱーるぅ、ぱーるぅ。おはならお。ちょうちょらお」
「あら本当ね。きれいねえ」
「きえいねー」
わらったぱぁーるもきれいらお。
「ぱーるぅ。ルーミィ、おなかぺっこぺこだおう!」
「……たはは。はい、サンドイッチ。落とさないようにね」
「うん!」
ぱぁーるのサンドイッチ、おいしー!
サンドイッチだけじゃないんらお。
ぱぁーるのごはんはなんでもおいしいんらから!
「けっけっけ。所詮は色気より食い気が優先ってか」
クイケって、ごはんがすきってことれしょ。
とりゃーだってごはんすきなくせに。
「なによ。トラップだって食い気が先なんじゃないの?」
そうらそうら。ぱぁーるの言うとおりら。
「はっ。おめえみてえな色気の何たるかも知らねえガキと一緒にされちゃ心外だ」
わかんにゃい。
ぱぁーるはルーミィと同じで、とりゃーはちゃうんかな。
「とりゃーはくいけよりいおけなのかぁ?」
「いおけって……色気か! こら、変なことを教えるなよ」
とりゃー、くりぇーにおこられたお。
「くりぇーはどうなんら? くいけ? いおけ?」
「ええっ? ど、どうかなあ」
しどおもどおしてう。 ムズカシイモンダイなんらね。
「しおちゃんは?」
「ボク、よく分からないデシけど、ゴハン好きデシよ」
「ルーミィやぱぁーるとおそろいらね!」
「おそろいデシ!」
うわーいわーい、おそろいいっぱい、うれしいな!
それなのに、とりゃーは「ケッ」ていう。
「おれも腹減っちまったぜ。パステル、くれ」
「トラップだってガキなんじゃない」
くすくすとわらって、ぱぁーるはサンドイッチのつつみをひらいた。
とりゃーにもわたしてあげるんらね。
やっぱり、とりゃーもくいけらと思うお。
けど、ちがうって言うのはどういういみなんら?
うーんうーん、ナゾナゾかなあ。
くいけじゃないけどサンドイッチは食べたいんらから……。
あ、わかったお!
「とりゃー、いおけよりぱーるぅのごはんがだーいすきなんらね!」
ぱーるぅがくれたサンドイッチ、とりゃーってば落としちゃったお。
もー、しょしょっかしーんらから。
「ご、ごめん、トラップ!」
とりゃーが落としたのに、なんでぱぁーるがあやまるんら?
ぱぁーる、お顔が赤くなってるお。
あれ、とりゃーのほうが赤いお。へんなの。
「いいいいいいや、気にすんな!」
大きな声のとりゃーはいつもよりせなかがのびてるみたい。
「あー、3秒ルールって言葉もありますよ」
「そ、そうだな! って、さすがに砂の上はマズイだろ。もう3秒経ったし」
「自然にかえしてやればいい」
きっとんやくりぇー、のりゅまであわててるお。
ごはんをそまつにしちゃダメらからね。
きょうのサンドイッチはたまごサンド。
たまごとすこしピリッとしたタマネギがよくあってる。
シャキシャキのレタスとスライスしたチーズとハムも入ってごうか!
でも、ハムはむこうがみえそうなくらい、うすいんらよ。
そのサンドイッチをちいさくちぎったお。
しおちゃんにわけてあげるんら。
「ぱぁーるのサンドイッチはおいしいんらよ」
「あ、ありがとさんデシ……」
しおちゃんはみんなを気にして、ふくざつなかおをしてう。
ふしぜんなくらいおおさわぎらからとーぜんらけど。
そらはこんなにあおくて、かぜもきもちいい。
なによりも、だいすきなみんながいるんらもん。
ぜっこうのごはんびよりをたのしまないなんてもったいないれしょ?
サンドイッチをもうひとくち食べたお。
うん、おいしー!
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